今日もお疲れ様です。
先日、再現性のないバグに振り回された話をブログ記事にまとめました。まだご覧になっていない方は、ぜひこちらもご覧ください。
👉 【実録】再現率0%の怪。私は如何にしてそのバグとの戦いを(一旦)終えたか

今回は、その逆とも言えるお話です。
原因は分かっているのに、放っておくと集計結果が狂ってしまう「入力ゆれ」についてご紹介します。
社内SEをしていると、売上集計を行い、その結果を担当者へメール送信するといった作業を任されることがよくありました。
ですが、その前段階でもっと時間を取られる作業があります。
それが、「データを整える作業」です。
「とりあえず、このデータ見やすくしておいて。」
営業担当者や上司から何気なく渡されるデータ。
見る側にとっては「すでに完成したデータ」ですが、社内SEにとっては、そのままでは分析に使えないことも珍しくありません。
一番怖いのは、見る側が「入力内容が統一されていない」とは思っていないことです。
そのまま集計すると、「この資料、本当に合っているの?」と疑われる原因にもなります。
今回は、私が実際によく行っていた「データを整える作業」についてご紹介します。
表記ゆれは想像以上に多い
一番多かったのは会社名の表記ゆれです。
例えば、
- 株式会社〇〇
- (株)〇〇
- ㈱〇〇
- 有限会社△△
- (有)△△
さらに、
- 半角スペースが入っている
- 全角スペースが入っている
- スペースがない
といった違いもよくありました。
人が見れば同じ会社でも、Excelは別のデータとして扱います。
その状態でピボットテーブルを作ると、同じ会社なのに別々の会社として集計されてしまいます。
すると、こんなやり取りが始まります。
SE「集計できました。」
上司「A社の売上、もっとあるはずだけど?」
SE「『株式会社』と『(株)』で別集計になっています。」
上司「……先に直しておいて。」
見る側は入力データの事情を知りません。
そのため、「集計がおかしい」と感じれば、資料を作った人の仕事の評価になってしまいます。
入力ゆれは会社名だけじゃない
実際には、会社名だけを直せば終わりではありません。
私が担当していた現場では、
- 商品名
- 商品コード
- 担当者名
- 得意先コード
なども、入力方法が統一されていないことがありました。
特に商品コードは厄介です。
例えば、
- 同じ商品なのに違う商品コードで登録されている
- 商品コードの先頭の「0」が消えてしまう
- 手入力で数字を1文字間違える
こうした違いだけで、Excelは別の商品として集計してしまいます。
「売上が減った。」
と思って調べてみると、実際は違う商品コードへ売上が分散していただけ、ということも何度もありました。
データを分析する前に整える理由は、まさにここにあります。

VLOOKUPは「データを整える道具」
私が担当していた会社では、会社マスタだけでも数千件登録されていました。
人の目だけで一件ずつ確認するのは現実的ではありません。
そのため、マスタを基準にVLOOKUP関数を使い、正式名称へ統一していました。
※現在ではXLOOKUP関数など便利な機能もありますが、当時の現場ではVLOOKUPが主力でした。
これによって、
- (株)
- 株式会社
- ㈱
のような違いがあっても、同じ会社として集計できます。
VLOOKUPは検索するための関数というイメージがありますが、現場では「入力ゆれを整えるための関数」として使うことも非常に多かったです。
「#N/A」をそのまま提出しない
VLOOKUPを使うと、マスタに存在しないデータは「#N/A」と表示されます。
ですが、そのまま資料を提出すると、
「数式が壊れているのかな?」
と思われることがあります。
そこで活躍するのがIFERROR関数です。
エラーになった場合だけ、
「マスタ未登録」
と表示するようにしていました。
これだけで、
「新しい取引先が登録されていないんだな」
と誰でも状況を理解できます。
また、IF関数もよく使用していました。
データの並び順が一致しているか、条件に合っているかなどを確認する際には欠かせない関数でした。
LEFT関数やRIGHT関数もよく使用していました。
例えば、商品コードの先頭数文字で商品分類を判定したり、末尾の番号からデータの種類を判別したりする際によく活用していました。
「必要なデータだけを抜き出す」という場面では、とても便利な関数です。
提出する資料は「壊れない状態」で渡す
集計が終わった資料は、そのまま提出しません。
私は完成した表を別シートへ値貼り付けしていました。
こうすると、
- 数式が消えない
- ピボットテーブルを触られない
- フィルター操作で数字が変わらない
といったメリットがあります。
実際、
「数字が消えた!」
「昨日と集計結果が違う!」
という問い合わせは何度もありました。
原因を確認すると、フィルターが変更されていただけだったり、数式が上書きされていたりすることも少なくありません。
そのため、分析用データは別ファイルとして保存し、提出する資料には完成した表だけを残すようにしていました。
見る人全員がExcelに詳しいとは限りません。
だからこそ、「誰が触っても壊れない資料」にすることも、社内SEの大切な仕事でした。
まとめ
社内SEは、単にExcelで集計しているわけではありません。
入力ゆれや入力ミスを整え、誰が見ても違和感なく判断できる資料へ仕上げています。
私がよく使っていたのは、
- VLOOKUP:正式名称へ統一する
- IF:条件を判定する
- IFERROR:エラー内容を分かりやすく表示する
- LEFT・RIGHT:商品コードなどの分類や判定を行う
- ピボットテーブル:売上や実績を集計・分析する
といった基本機能ばかりでした。
派手な機能ではありませんが、これらを組み合わせるだけで、
- 集計時間は短くなり
- 問い合わせは減り
- 上司からの修正依頼も減り
- ミスも大きく減りました。
私は、ピボットテーブルは分析作業には欠かせない機能だと思っています。
ですが、そのピボットテーブルも、元となるデータが整っていなければ正しい分析結果は得られません。
現場では、分析する技術よりも、分析できるデータを作る技術の方が重要になる場面も少なくありません。
データを整える作業は地味です。
きれいな資料ができると、「最初からこういうデータだった」と思われることもあります。
ですが、その”当たり前”を支えているのが、社内SEの仕事です。
私は、社内SEは**「データの翻訳者」**でもあると思っています。
数字を集計するだけではなく、誰も迷わず判断できる形へ整えること。
それもまた、現場を支える大切な仕事の一つなのです。
次回は、いろいろとブログ記事にしている私ですが、結構苦手なものもあったりします。そんな記事をまとめてみました。
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