こんにちは。
前回は、仕事と家事の両立について、私なりの考えをブログ記事にまとめました。
まだご覧になっていない方は、ぜひこちらもご覧ください。
👉 【元社内SE】「ちゃんとやりたいのに回らない」仕事と家事を両立するために私が出した結論

以前、【元社内SE実録】期末・期初は何をしている?忙しい理由と実際の業務を紹介という記事で、期末・期初になると社内SEがどのような業務を行い、なぜ忙しくなるのかをご紹介しました。
まだご覧になっていない方は、こちらもあわせてご覧ください。
👉 【元社内SE実録】期末・期初は何をしている?忙しい理由と実際の業務を紹介
今回は、その記事の中でも少し触れた**「期初に新システムを導入する」**というテーマについて、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
期初は「新しいスタート」のタイミングです。
組織変更や人事異動にあわせて、新しいシステムを導入する会社も少なくありません。
一見すると、
- 区切りがいい
- 新体制に合わせやすい
といった理由から、導入には最適なタイミングに見えます。
しかし、現場の社内SEから見ると──
期初のシステム導入は、かなりのハードモードです。
今回は、その理由を、私が実際に経験した販売管理システムの導入も交えながらご紹介します。
なぜ期初にシステム導入が行われるのか
まず前提として、期初にシステムを導入すること自体は間違いではありません。
経営側から見ると、非常に合理的な判断です。
- 組織変更と同時に権限設計ができる
- 新しい業務フローへ切り替えやすい
- 新年度予算を確保しやすい
- 「今期から変える」という意思決定がしやすい
このように、経営面だけを見るとメリットは多くあります。
だからこそ、多くの会社で期初導入が選ばれています。
社内SE視点:実際に何が起きるのか
ここからは、私が実際に担当した販売管理システム導入の経験も交えながらお話しします。
当時は約50名が利用する4拠点の販売管理システムを導入しました。
準備期間は約2年。
ベンダーとの打ち合わせや運用設計を何度も繰り返し、本番稼働までは旧システムとの並行稼働を続けながら少しずつ切り替えていきました。
棚卸の時期とは重なりませんでしたが、それでも現場はかなり慌ただしく、本番が近づくにつれて想定外の出来事が次々と発生しました。
マスタ整備が未完成のまま進む
期初は、
- 人事情報がまだ確定していない
- 部署構成が変わる可能性がある
- 権限設計も仮の状態
というケースが珍しくありません。
つまり、「正解がまだ決まっていない状態で設定作業を進める」ことになります。
その結果、
- 「やっぱり部署が変わりました。」
- 「権限を変更してください。」
という修正依頼が次々と発生します。
あとで変更することを前提に作業するため、二度手間・三度手間になりやすいのです。
私が特に神経を使ったのはマスタ更新でした。
会社全体へ影響するため、一度に更新するのではなく、内容によっては5つほどに分割して慎重に移行していました。
マスタやデータの移行は休日に実施しました。
しかし、元のデータ容量が大きすぎて、そのままではインポートできないことが判明しました。
急きょファイルを分割して移行する方法へ切り替え、一つひとつ確認しながら作業を進めることに。
「これで終わるだろう」と思っていた作業も、気が付けば夜まで続いていました。
並行稼働で管理コストが倍になる
システムは簡単には止められません。
そのため、
- 旧システムは稼働したまま
- 新システムも同時に運用開始
という状態になります。
すると、
- データの二重管理
- データ整合性の確認
- トラブル発生時の切り分け
など、管理するものが一気に増えます。
私が担当した販売管理システムでも、本番稼働までは並行稼働が続き、データの確認や差異チェックを毎日のように繰り返していました。
作業量が増えるだけではなく、人為的なミスも起こりやすくなるため、精神的な負担も非常に大きかったことを覚えています。
問い合わせが一気に集中する
期初は利用者側も余裕がありません。
その状態で新システムになると、
- ログインできない
- 操作方法が分からない
- 前と画面が違う
- ボタンの場所が変わった
といった問い合わせが一斉に始まります。
実際には、
- プログラムが止まった
- プリンターの設定方法が分からない
といった問い合わせも頻繁に発生しました。
しかも、その多くが「今日中に処理しないと仕事が止まる」という内容です。
現場では電話やチャットが鳴り続け、対応だけで一日が終わることも珍しくありません。

想定外が一気に表面化する
どれだけ準備していても、
- 想定外の業務
- 部門ごとの独自ルール
- 例外処理
は必ず出てきます。
私が特に面倒だったのが、サーバー側で処理がフリーズしてしまうエラーでした。
このエラーは現場では対応できず、社内SEがサーバーへログインし、タスクマネージャーから該当プロセスを強制終了しなければ復旧できませんでした。
一件だけならまだ対応できますが、これが同時に何件も発生すると、他の問い合わせ対応も重なり、現場は一気に慌ただしくなります。
普段なら一つずつ対応できますが、期初はそれらが同時に発生します。
だからこそ、「どこから対応するか」という判断力も求められるのです。
なぜハードモードになるのか
理由は非常にシンプルです。
- 忙しい時期
- 情報が確定していない
- 新システムを動かす
この3つが同時に重なるからです。
一つだけでも大変なのに、それがすべて重なるため、現場の負荷は想像以上になります。
それでも成功させるために
だからといって、期初導入が悪いわけではありません。
重要なのは「進め方」です。
完璧を目指さない
最初から100点を目指すよりも、
- まず70点で運用開始
- 改善しながら完成度を上げる
という考え方のほうが、結果的にうまくいくことが多いです。
「止まらないこと」を最優先にする
現場では、トラブルがゼロであることより、業務が止まらないことのほうが重要です。
そのため、
- 手動対応の準備
- 代替手段の用意
- 緊急時の運用方法
まで考えておく必要があります。
問い合わせ対応を事前に設計する
問い合わせ対応が整理されていないと、本来進めるべき作業が止まってしまいます。
そのため、
- FAQを作る
- 問い合わせ窓口を一本化する
- 優先順位を決める
ことが非常に重要です。
私が特におすすめしたいのは、問い合わせ窓口を利用部門側で一本化することです。
現場対応中の社内SEは設定変更やトラブル対応を並行して進めています。
その状態で個別の問い合わせが次々と届くと、集中力が途切れ、設定ミスや確認漏れにつながる恐れがあります。
利用部門で問い合わせを整理してもらうだけでも、現場の負荷は大きく軽減されます。
スケジュールには余裕を持つ
これは実際に経験して強く感じたことです。
システム導入は、予定どおりに進むことのほうが少なく、必ず何らかの想定外が発生します。
そのため、余裕のないスケジュールでは、一つのトラブルが全体へ影響してしまいます。
「少し余裕を取りすぎかな」と思うくらいのスケジュールが、結果的にはちょうど良いことが多いと感じています。
元社内SEとしての結論
現場から見ると、期初のシステム導入は、「きれいに始めるイベント」ではありません。
「崩れながら整えていくフェーズ」です。
表から見ると順調に見えても、その裏では社内SEとベンダーが役割を分担しながら、細かな調整を何度も繰り返しています。
表には見えない苦労がありますが、その積み重ねが会社の業務を支えています。
まとめ
期初に新システムを導入すると、
- マスタ情報は未確定
- 業務は不安定
- 問い合わせは急増
- 想定外のトラブルも発生する
という状況になりやすくなります。
それでも会社は前へ進まなければなりません。
だからこそ社内SEは、
「見えないところで業務を止めないよう支え続ける役割」
を担っています。
派手な仕事ではありませんが、会社を支える大切な仕事だと、私は今でも感じています。
次回は、世代間の話になるとよく耳にする「最近の若い者は……」や「価値観が古い」といった言葉について、私なりの考えをブログ記事にまとめたいと思います。
社内SEとしてさまざまな年代の方と一緒に仕事をしてきた経験から感じたことを交えながら、お話ししていきます。
👉 【元社内SEが感じた】「最近の若い者は」と「価値観が古い」は、実は同じ話なのかもしれない
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今回ご紹介した内容は、以前公開した「期末・期初」シリーズの一つのテーマを掘り下げたものです。
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👉 【情シス実録】マスタ一括更新の罠。「商品名が変」と言われた社内SEの右手は、静かに震え始めた。
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