前回は、社内SE時代に苦手だった仕事の一つ、「商品撮影」についてブログ記事にまとめました。
実際に担当してみると、商品撮影は単に写真を撮るだけではなく、準備や調整など想像以上に大変な仕事でした。当時の経験を振り返りながら、その裏側をご紹介しています。
まだご覧になっていない方は、ぜひこちらからご覧ください。
👉 【元社内SE実録】本当に大変だった商品撮影|物撮りは「写真を撮る仕事」ではありませんでした

先日、東京に住んでいた頃にお世話になった先輩と話す機会があり、その中でAIについて話題になることがありました。
👉 週末リセット 第24回|いろいろな人と話して過ごした、充実したお盆休み
先輩の職場でもAIはかなり活用されており、資料作成や文章の整理など、さまざまな場面で使われているそうです。
ただ、その一方で頭を悩ませていることもあるとのことでした。
それが、部下から提出される資料や文章などの提出物です。
AIを使って作成されたと思われる提出物に間違いが含まれていたり、「これはどういう意味?」と少し掘り下げて質問すると、回答が返ってこなかったりすることがあるそうです。
AIは便利なので、使えるものは積極的に使って仕事を効率化していけばいいと、私も思っています。
では、「AIを使いこなす」とは一体どういうことなのでしょうか。
先輩との話をきっかけに、私自身のAIの使い方についても改めて考えてみました。
AIを使ったことではなく「理解しているか」が大切
AIを使えば、きれいにまとまった文章や資料を短時間で作ることができます。
問題になるとすれば、AIを使ったことそのものではなく、AIが作ったものを自分自身で十分に理解しないまま使ってしまうことではないでしょうか。
文章がきれいにまとまっていることと、その内容を本人が理解していることは別の話です。
私自身、最初からAIをうまく使えていたわけではありません。
むしろ、初めて生成AIを使った時は少し怖さを感じました。
感覚的な表現になりますが、「8割くらいは正しそうなのに、その中に2割くらい間違った情報が混ざっている」ように感じたからです。
もちろん、本当に8割が正しくて2割が間違っているという意味ではありません。
全部が間違っていれば、「これは使えないな」と判断できます。
ところが、ほとんどが正しそうに見える中に、もっともらしい間違いが混ざっていると、それを見つけるのが難しくなります。
だからこそ、「これを何も知らない状態で読んだら、間違いに気づけるのだろうか?」という怖さがありました。
AIの間違いに気づけたのは「経験則」があったから
では、なぜ私はAIの回答に対して、「これは違うのでは?」と考えることができたのでしょうか。
振り返ってみると、これまで仕事をしてきた中で身につけた知識や経験、いわゆる「経験則」があったからだと思います。
実際、AIを使い始めた頃、会計について質問した時に違和感を持ったことがありました。
勘定科目の扱いについて、AIから返ってきた回答をそのまま会計システムに登録するのはまずいのではないか、と感じたことがあります。
自分が経験したことのある分野であれば、
- 「これは少しおかしい」
- 「実際にはこうならないのでは?」
といった違和感を持つことがあります。
もちろん、経験則があれば必ず正解が分かるわけではありません。自分の方が間違っていることもあります。
それでも、「ちょっと待てよ。本当にそうなのか?」と一度立ち止まるきっかけにはなります。
経験則は「正解を知るためのもの」というより、違和感や疑問を持つための材料の一つなのかもしれません。
経験があるからこそ、自分の経験も疑ってみる
一方で、経験があるからといって、自分の経験則だけが正しいと思ってしまうのも違うと思います。
- 「今まではこうだった」
- 「自分はこうやってきた」
という経験が、逆に新しいものを受け入れる邪魔になることもあります。
特にAIのような新しい技術では、これまでの常識がそのまま通用するとは限りません。
だからこそ、経験を積んできた人にも、新しいものを受け入れようとする努力や度量が必要なのではないでしょうか。
AIから自分とは違う答えが返ってきた時に、「AIが間違っている」と最初から決めつけるのではなく、「もしかすると、自分が知らないだけでは?」と考えてみる。
調べてみれば、自分の経験則の方が正しかったと分かることもあるでしょう。
反対に、「今はこうなっているのか」と気づくこともあると思います。
AIの回答に疑問を持つのと同じように、自分自身の経験則にも疑問を持ってみる。
経験を積んできたからこそ、そうした柔軟さも必要なのかもしれません。
大切なのは「疑問を持って、深掘りすること」
ここまで考えてみると、AIを使う上で大切なのは、やはり「疑問を持つこと」ではないかと思います。
- 「本当にそうなの?」
- 「なぜそうなるの?」
- 「根拠は何?」
- 「ほかの可能性はないの?」
疑問を持つことで、AIの回答をそのまま受け取らず、もう一段深く考えることができます。
私の場合、AIの回答に違和感を持った時は、その違和感をそのままAIにぶつけることが多いです。
- 「それは違うのでは?」
- 「こういう場合はどうなるの?」
と聞いて、さらにやり取りを続けます。
AIの説明を聞いて、「なるほど、そういうことか」と思えば、自分の考えを修正することもあります。
それでも納得できなければ、さらに聞いてみます。
大切なのは、AIと議論したからといって、最後にAIの意見を採用する必要はないということです。
AIとのやり取りを判断材料にして、最後は自分で考える。
ここは大切にしています。

知らないからこそ、AIに聞いてみる
自分がまったく知らない分野では、経験則を使って違和感を持つことが難しくなります。
そんな時、私はむしろ分からないことをそのままAIに聞いています。
- 「なぜ?」
- 「なんでそうなるの?」
- 「どういうこと?」
特別に難しい質問ではありません。
分からないところを一つずつ聞き、その回答からまた気になるところを見つけて聞いていきます。
私は新聞を読んでいる時にも、この使い方をすることがあります。
例えば、消費減税に伴うシステム改修についての記事を読んだ時のことです。
一見すると、「税率を変更するだけなのに、なぜそこまで時間が必要なのだろう?」と思うかもしれません。
しかし、背景をAIに聞きながら考えていくと、企業側ではシステム改修やテストなど、さまざまな対応が必要になることが見えてきます。
もちろん、AIから聞いたことをすべて正しいと考えているわけではありません。
ただ、自分が知らなかった事情や視点を知ることで、「そういう事情もあるのか。それなら少し見方が変わるな」ということはあります。
自分の考えをAIに肯定してもらうのではなく、自分が知らないことや違う視点を知るために使う。
これもAIとの壁打ちの良さだと思います。
経験が少ないからこそ、AIとの壁打ちで「目を養う」
先輩との話でも、「それなら部下にAIを使わせない方がいい」という話にはなりませんでした。
むしろ、経験が少ないからこそ、AIとの壁打ちを練習してもいいのではないかという話になりました。
これは若手社員でも、これから社会に出ていく学生でも同じだと思います。
例えば若手社員なら、AIに作ってもらった資料について、
- 「なぜ、この結論になるの?」
- 「この数字の根拠は?」
- 「間違っている可能性はない?」
と聞いてみる。
学生であれば、授業やニュース、本などを通じて、
- 「これはどういう意味?」
- 「どうしてこうなったの?」
と、自分が気になったところから聞いてみる。
立場は違っても、やっていることは同じです。
自分が分からないこと、気になったことを出発点にして深掘りしていく。
そうしたことを繰り返していけば、
- 「ここはもう少し確認した方がいい」
- 「本当にこれで合っているのだろうか?」
と、一度立ち止まって考える習慣も少しずつ身についていくのではないでしょうか。
私は、これも一つの「目を養う」ことだと思います。
もちろん、AIとの壁打ちだけで実際の経験を置き換えることはできません。
仕事をする。勉強する。失敗する。人から教えてもらう。自分で調べる。
そうした実際の経験も必要です。
だからこそ、実際の経験を積みながら、AIとの壁打ちで疑問を持つ練習もする。
経験が少ないからAIを使えないのではなく、経験が少ないからこそAIを使って考える練習をする。
そうした使い方もできるのではないかと思います。
AIが得意なことは、積極的に任せてもいい
ここまでは、AIを「考えるための道具」として使う話をしてきました。
一方で、AIが得意な作業については、積極的に任せてもいいと私は思っています。
その一つが文章です。
私にとってAIは、「文字に関するプロフェッショナル」のような存在でもあります。
例えば、
- 長い文章を「です・ます調」に統一する。
- 不自然な表現がないか確認する。
- 文章の良い点や悪い点を挙げてもらう。
- 文章を100点満点で採点してもらう。
こうした作業は人間でもできますが、AIに任せた方がかなり早くできます。
ただ、文章を採点してもらった場合でも、「90点だった」という点数そのものを重視しているわけではありません。
私が見ているのは、「なぜ、その評価になったのか?」という部分です。
自分では気づかなかった重複や説明不足を指摘されれば修正する。
逆に、意図して書いているところなら、「ここはこのままでいい」と判断することもあります。
文章を整えたり評価したりするところはAIに手伝ってもらう。
一方で、「何を伝えたいのか」「最終的にどうするのか」は自分で決める。
この役割分担ができれば、AIは非常に便利です。
私自身、AIとのやり取りがあったからこそ、自分の中にあった考えを言葉として整理できたこともたくさんあります。
AIに考えてもらうのではなく、AIを使って考える
AIを初めて使った時には怖さを感じていましたが、今ではインターネットで検索するような感覚で使っています。
ただ、普通の検索と違うのは、そのまま会話を続けられることです。
- 「なぜ?」
- 「どういうこと?」
- 「じゃあ、この場合は?」
と、疑問に思ったところからそのまま深掘りできます。
最初から完璧な質問をする必要もないと思います。
返ってきた回答に疑問を持てば、さらに聞けばいい。
違うと思えば指摘すればいい。
AIの方が正しいと思えば、自分の考えを修正すればいい。
そして必要なら、自分でも調べる。
AIに考えてもらうのではなく、AIを使って自分が考える。
私は、この使い方が大切なのではないかと思っています。
まとめ
AIは非常に便利な道具です。
人間がやるよりAIに任せた方が早い作業なら、積極的に任せてもいいと思います。
ただ、AIが出した答えをそのまま自分の答えにするのではなく、「本当にそうなのか?」と一度考えてみる。
経験があるなら、自分の経験と照らし合わせる。ただし、その経験そのものが古くなっていないかも考えてみる。
経験が少ないなら、「分からない」「気になる」を出発点にしてAIと一緒に深掘りしてみる。
そして最後は、自分で考えて判断する。
私にとってAIは、「考えを深めるための壁打ち相手」であり、「文字に関するプロフェッショナル」のような存在です。
便利なところはAIに任せる。
それでも、自分で疑問を持ち、自分で考えることまでは手放さない。
今のところ、それが私なりの「AIを使いこなす」ということなのだと思います。
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