前回は、「ITに詳しいよね?」の一言がきっかけで、総合カタログの編集長まで担当することになった社内SE時代のエピソードをご紹介しました。
まだご覧になっていない方は、ぜひこちらもご覧ください。
👉 【社内SEあるある】「ITに詳しいよね?」の一言で、総合カタログの編集長にまでなった話

こんにちは、元社内SEです。
今回は、社内SEの仕事の中でも数年に一度やってくる大仕事、「パソコンの一斉入れ替え」についてお話しします。
利用者からすると、「新しいパソコンが来る!」という少し楽しみなイベントかもしれません。
しかし、情シスにとっては毎回胃が痛くなる大型プロジェクトでした。
システム会社との打ち合わせ。リース会社との調整。大量の書類。会議室いっぱいに積まれた段ボールに入ったパソコン。
利用者の机には新旧2台のパソコンが並び、仕事スペースがマウスパッド一枚分くらいになることも珍しくありません。
私が担当していた会社では、約60~70台のパソコンを約2か月かけて、拠点ごとに順番に入れ替えていました。
一つの拠点が終われば次の拠点へ。
ようやく終わったと思ったら、また次が始まる。そんな毎日でした。
そして、設定が終わった新しいパソコンをお渡しすると、私はこう伝えていました。
「あとはご自身で設定をお願いします。」
「そこまでやってくれないの?」
そう思われることもあります。
でも、この一言にはちゃんと理由があります。
パソコンだけを入れ替えているわけではありません
利用者から見ると、「新しいパソコンが届いた」という出来事です。
しかし、情シスから見ると、それは大きなプロジェクトの一部に過ぎません。
私が担当していた会社では、パソコンの入れ替えに合わせて、
- サーバーの更新
- 基幹システムの移行
- 各種ソフトウェアの更新
も同時に進めることがほとんどでした。
つまり、新しいパソコンを配るだけではありません。
会社全体のIT環境を新しい環境へ移行する一大プロジェクトだったのです。
そのため、システム会社やリース会社との打ち合わせも何度も行い、拠点ごとのスケジュールを調整しながら進めていました。
利用者が新しいパソコンを使い始めたあとも、情シスはサーバーや基幹システムの移行、不具合対応など、まだまだやることが残っています。
「PCを渡したら終わり」ではなく、「そこからが本番」という感覚でした。
情シスが責任を持つのは「仕事ができる状態」まで
PCを配布するとき、私が必ず確認していたものがあります。
- ネットワークにつながること
- Officeが正常に使えること
- プリンターが利用できること
- 社内システムが正常に動作すること
この4つです。
どれか一つでも動かなければ、会社の仕事は止まってしまいます。
だから、この部分だけは絶対に妥協しませんでした。
Windowsの初期設定やドメイン参加まではシステム会社が担当していましたが、基幹システムのクライアント設定や接続確認、移行後の動作確認は私たち情シスが担当していました。
実は、この作業が一番時間の掛かる工程でした。
会社ごとに設定内容が異なるため、自動化しにくい部分も多く、一台ずつ確認しながら作業を進めていました。
なぜ「あとは自分でお願いします」と伝えるのか
一人ひとり使い方が違うから
仕事ができる状態までは私たちが責任を持ちます。
しかし、その先は人によってまったく違います。
- 壁紙
- デスクトップアイコン
- お気に入り
- ブラウザ設定
- マウス速度
- 辞書登録
- メールの署名
100人いれば100通りあります。
もし一人30分ずつ個人設定をしていたら、それだけで何日も掛かってしまいます。
だからこそ、「仕事に必要な環境」までは情シス。
「自分が使いやすい環境」は利用者自身にお願いしていました。
最後のタイミングは本人しか分からない
入れ替え期間中は、新旧2台のパソコンが机に並びます。
- 「今日切り替える。」
- 「この仕事が終わってから移行する。」
そのタイミングを一番分かっているのは利用者本人です。
情シスが勝手に決めてしまうと、かえって仕事を止めてしまうこともあります。
だから最後の一歩だけは利用者にお願いしていました。
情シスは裏で別の仕事とも戦っている
利用者が新しいPCを触っている頃、情シスは別の仕事も進めています。
- 基幹システムの移行対応
- サーバーの更新作業
- リース会社への返却準備
- シリアル番号の確認
- システム会社との打ち合わせ
- 不具合対応
PCを配ったら終わりではありません。
むしろ、そこから問い合わせ対応が本格的に始まります。
入れ替え当日は電話も鳴りっぱなしでした。
- 「メールはどうやって移行するの?」
- 「システムにログインできません。」
- 「エラーが出ました。」
多い日には20~30件ほど問い合わせがあり、電話を切ったと思ったら、また次の電話が鳴るような一日でした。
システムにログインできない、移行後に想定していなかった不具合が見つかった。
そんな連絡が入るたびに、正直かなり焦りました。

メール移行は手順書を用意していました
一番多かった問い合わせは、メールの移行方法でした。
ただ、これが意外と難しい問題です。
利用者によって使っているメールソフトが違うからです。
- Outlook
- Thunderbird
- その他のメールソフト
Outlookについては、私自身も利用していたので、PSTファイルを使った移行方法を説明できました。
しかし、それ以外のメールソフトまでは対応しきれません。
そのため、Outlook以外については、各ソフトの手順を確認しながら利用者自身で移行してもらう運用にしていました。
また、お客様ごとのEDIシステムなど、社外システムについても利用者自身でインストールをお願いするケースがありました。
もちろん、困ったときはサポートします。
でも、すべてを情シスだけで対応するのは、現実的には難しかったのです。
スケジュールどおりに動いてくれることが一番助かる
私の場合、入れ替えのスケジュールは一度案内して終わりではありませんでした。
- 「○日までにデータを移行してください。」
- 「○日に新しいPCへ切り替えます。」
- 「旧PCは○日まで利用できます。」
このような案内を何度も繰り返し周知していました。
なぜそこまでしつこく案内していたのかというと、一人の予定が変わるだけで、その後のスケジュールだけでなく、システム会社やリース会社、他部署との調整までやり直しになることがあるからです。
実際にこんなことがありました。
入れ替え当日になってから、「まだ設定してないねん。手伝って。」と声を掛けられたことがあります。
でも、その場ではお断りしました。
冷たいと思われたかもしれません。
しかし、この日のために何週間も前からスケジュールを決め、何度も案内を出していました。
その利用者だけ対応してしまうと、予定どおり進めてくださっている他の利用者を待たせることになります。
情シスは一人だけを担当しているわけではありません。
会社全体の入れ替えを進めています。
だからこそ、申し訳ないと思いながらも、その場ではお断りしました。
逆に一番助かったのは、決めたスケジュールどおりに動いてくださる利用者です。
それだけで全体のスケジュールが崩れず、問い合わせ対応にも余裕が生まれます。
もちろん例外もありました
もちろん、すべてを利用者任せにしていたわけではありません。
役員など業務への影響が大きい方。
どうしても操作が難しい方。
こうしたケースでは横について設定したり、代わりに作業したりすることもありました。
会社全体の業務を止めないことも、情シスの大切な仕事だからです。
まとめ
パソコンの入れ替えは、新しいパソコンを配るだけの仕事ではありません。
サーバーを更新し、基幹システムを移行し、多くの関係者と調整しながら、利用者が安心して新しい環境へ移れるよう準備を進める、大きなプロジェクトです。
だからこそ情シスは、
「仕事に必要な環境」
までは責任を持って整えます。
一方で、
「自分が使いやすい環境」
については利用者の皆さんにも協力をお願いしていました。
そして、利用者の皆さんに一番お願いしたいことがあります。
それは、決めたスケジュールどおりに動いていただくこと。
パソコンに詳しい必要はありません。
分からないことがあれば相談していただければ大丈夫です。
でも、予定どおりに進めていただけるだけで、会社全体の入れ替えは驚くほどスムーズになります。
もちろん、困ったときは遠慮なく相談してください。
「全部やってください」は難しくても、「一緒に考える」ことはできます。
……とはいえ、PC入れ替えシーズンが終わる頃には、利用者も情シスもきっと同じことを思っています。
「やっと終わった……。」
その一言のために、みんな頑張っていたのかもしれません。
次回は少し視点を変えて、毎日のデスクワークを支えてくれた作業環境についてお話しします。
長時間のパソコン作業で肩こりや首の痛み、腰痛に悩んでいた私が、モニターアームを導入して感じた変化をまとめました。
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いろいろな社内SE時代の実体験や業務改善についても発信していますので、よろしければ他の記事もご覧ください。
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