今日もお疲れ様です。
前回は、会長のパソコンをリカバリーしたときの出来事についてご紹介しました。
まだご覧になっていない方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。
👉 【恐怖の実録】会長のPCをリカバリーしたら冷や汗が止まらなかった話

今回は少し視点を変えて、社内SEとしてシステムを導入するときに、私がどのようなことを考えながら進めていたのかについてお話ししたいと思います。
システム開発には必ずコストがかかる
システムを新しく導入したり、既存システムを改修したりするには、多くの費用がかかります。
設計、開発、テスト、導入、運用。
一つひとつの工程に人が関わるため、その分だけ人件費も発生します。
私が担当したシステム導入では、1,000万円から3,000万円規模になる案件もありました。
そのため、一つの判断で導入費用が大きく変わることも珍しくありません。
システムを導入する前には、複数のベンダーと何度も打ち合わせを重ね、本当に必要な機能なのか、費用に見合う効果があるのかを慎重に検討していました。
だからこそ、「あったら便利」という理由だけで機能を追加してしまうと、予算はどんどん膨らんでいきます。
気付けば「ロマン砲」の見積書に
現場で仕事をしていると、
「この機能も欲しい。」
「これも追加できませんか?」
という要望は自然と増えていきます。
どの意見も現場の方が本気で困っているからこそ出てくるものです。
しかし、それらをすべて取り入れていくと、気付けば見積書がとんでもない金額になっていることがあります。
私はそんな見積書を勝手に「ロマン砲」と呼んでいました(笑)。
実際には、年に一回使うか使わないか分からない機能や、一部の担当者しか利用しない機能に、大きな開発費がかかるケースもありました。
そのような時は、
「運用で対応できませんか?」
「本当にこの機能は必要ですか?」
と、もう一度立ち止まって考えるようにしていました。

経営層の考えだけでもうまくいかない
一方で、経営層は会社全体を見る立場です。
利益をどう伸ばすか。
コストをどう抑えるか。
将来を見据えて、どのような仕組みが必要なのか。
これらを考えることは、とても重要です。
そのため、システム導入では費用対効果を慎重に検討し、予算が必要以上に膨らまないよう細心の注意を払います。
しかし、現場の運用を十分に理解しないまま導入を進めてしまうと、
「使いにくい。」
「結局、今までのやり方の方が早い。」
という状況が生まれることもあります。
現場が悪いわけでも、経営層が悪いわけでもありません。
立場が違えば、見えている景色も違うからです。
だからこそ社内SEは、経営層が求める方向性と現場の運用の両方を理解し、それぞれの意見を調整しながらシステム導入を進めていきます。
私が意識していた優先順位
私が社内SEとして仕事をする中で、常に意識していた優先順位があります。
① 経営層の方針
会社としてどこを目指しているのか。
システムは経営方針と大きく関わるため、方向性を理解することを最優先にしていました。
もちろん、その内容をそのまま採用するのではなく、費用対効果や現場への影響も含めて検討していました。
② 各部署のリーダー
私が特に重視していたのが、各部署のリーダーとの相談です。
実務担当者から改善要望をいただくことは多くありましたが、そのまま開発することはほとんどありませんでした。
まずは部署内で話し合っていただき、「部署として本当に必要な改善なのか。」を確認してもらうようにしていました。
部署として方向性がまとまっている案件は、導入後もスムーズに運用されることが多かった印象があります。
③ 実務担当者の意見
もちろん現場の意見は非常に大切です。
改善のヒントは、実際に使っている方々が一番よく知っています。
ただ、「個人が便利になる機能」なのか、「部署全体の改善につながる機能」なのかは分けて考える必要があります。
社内SEは、その違いを見極める役割でもありました。
社内SEは「翻訳者」でもある
社内SEの仕事は、システムを導入することだけではありません。
現場、経営層、ベンダー。
それぞれ立場が違うため、同じ内容でも伝え方を変える必要があります。
特にベンダーとの打ち合わせでは、専門用語が数多く使われます。
その内容をそのまま現場へ伝えてしまうと、「結局、何が変わるの?」となってしまうことも少なくありません。
そのため社内SEは、専門用語をできるだけ分かりやすい言葉に置き換えながら説明していました。
逆に現場から、「もっと入力を楽にしたい。」という要望があれば、そのままベンダーへ伝えるのではなく、
- 「誰が使うのか。」
- 「どの画面で操作するのか。」
- 「一日にどれくらい入力するのか。」
- 「何に困っているのか。」
を整理して伝えます。
現場では、一日に何百件ものデータを入力する担当者もいました。
たった1クリック増えるだけでも、一日を通せば何百回もの余計な操作になります。
一件でも早く処理を終わらせるために、Enterキーをリズムよく連打しながら入力している方もいました。
そうした現場を毎日見ていたからこそ、「便利そうだから追加する」のではなく、「本当に作業効率が上がるのか」という視点を大切にしていました。
ベンダーはシステムを作るプロですが、現場の仕事を毎日見ているわけではありません。
だからこそ、現場の業務を正しく伝えることも社内SEの重要な役割でした。
私は、この「翻訳作業」に一番時間を使っていたように思います。
社内SEは「調整役」
社内SEの仕事は、プログラムを書くことだけではありません。
- 経営層。
- 現場。
- ベンダー。
- 予算。
- スケジュール。
それぞれの立場を理解しながら、一番良い落としどころを探していく仕事でもあります。
時には、
- 「今回は見送りましょう。」
- 「こちらの方法なら実現できます。」
- 「まずは運用で対応してみませんか。」
と代替案を提案することもありました。
システムを導入することが目的ではありません。
導入したシステムが現場で定着し、長く使われて初めて、そのシステムは成功したと言えるのだと思います。
そのための調整こそが、社内SEに求められる役割だったと感じています。
まとめ
社内SEは、すべての要望を実現する仕事ではありません。
現場の意見を大切にしながら、会社全体の方向性や予算も考え、最適な方法を選んでいく仕事です。
「あったら便利。」
だけでシステムを作ってしまうと、気付けば大きな「ロマン砲」になってしまうこともあります。
だからこそ、本当に必要な改善なのかを考え、優先順位を整理しながら進めることが大切です。
そして、現場・経営層・ベンダー、それぞれの言葉を翻訳し、お互いの認識を合わせながら導入を進めていくことも、社内SEの重要な役割です。
システム導入は、完成したら終わりではありません。
現場で長く使われ、業務改善につながって初めて成功だと、私は考えています。
今でもシステムの見積書を見ると、「これはロマン砲になっていないかな」と、つい考えてしまいます。
次回は、新システムを導入した時によくある話で再現率0%のバグとの戦いについて、ブログ記事を書いていきたいと思います。
👉 【実録】再現率0%の怪。私は如何にしてそのバグとの戦いを(一旦)終えたか
いかがでしたでしょうか。
ほかにも、元社内SEとして経験したことや、業務改善、ITに関する考え方などをブログで発信しています。
よろしければ、関連記事もあわせてご覧ください。
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