今日もお疲れ様です。
前回は、私が社内SE時代に使用してきたディスプレイ遍歴をご紹介しました。まだご覧になっていない方は、こちらからご覧ください。
👉 【元社内SE】私のディスプレイ遍歴|「デイトレーダー?」と呼ばれた要塞デスクの歴史

今回は少し視点を変えて、社内SEとして実際に経験した「優先順位」についてお話ししたいと思います。
システム管理をしていると、役員や現場、各部署からさまざまな依頼が寄せられます。
どの依頼も大切ですが、すべてを同時に対応することはできません。
そのような状況で、私は何を基準に優先順位を決めていたのか。
今回は、実際に現場で経験した出来事を交えながら、一人情シスとして会社の流れを守るために大切にしていた考え方をご紹介します。
システムリリースの日に起きた出来事
ある日、全社員が利用するシステムのリリース作業を行っていました。
リリース当日は、万が一トラブルが発生してもすぐ対応できるよう、常に状況を確認しながら作業を進めます。
そのため、パソコンの設定や利用者側の準備については、リリース日までに済ませてもらえるよう事前から何度も案内していました。
しかし、リリース当日になって役員から声を掛けられました。
「パソコンの設定を手伝ってほしい。」
非常に断りづらい依頼でした。
ですが、その日は全社員が利用するシステムのリリース日です。
私がその場を離れれば、障害が発生した際の初動対応が遅れ、現場全体の業務が止まる可能性があります。
事前に準備期間を設けて案内していたこともあり、その場では役員のパソコン設定ではなく、システムリリースを優先しました。
この出来事を通して改めて感じたのは、一人情シスは技術者である前に、「優先順位を判断する仕事」でもあるということです。
守るべきは「一人」ではなく「全体」
一人情シスには毎日のように依頼が届きます。
- パソコンが動かない
- Excelを修正してほしい
- 新しいシステムを作ってほしい
- ネットワークが遅い
どれも大切な依頼です。
しかし、すべてを同時に対応することは物理的にできません。
だからこそ、私が優先順位を決める時に基準としていたのは、「誰から頼まれたか」ではなく、「どれだけの人へ影響するか」という考え方でした。
例えば、
- サーバー障害
- 基幹システム停止
- ネットワーク障害
これらは業務全体へ大きな影響を与えます。
一方、一人のパソコン設定やWi-Fi接続も重要ではありますが、影響範囲は限定的です。
役職ではなく、影響範囲で判断する。
それが、一人情シスとして会社の流れを守るための基本だと考えていました。

トラブル時は「説明」より「復旧」を優先する
障害が発生すると、現場から次々と問い合わせが入ります。その時に悩むのは、障害そのものではありません。
現場へ説明を続けるべきか、それとも一秒でも早く復旧作業へ戻るべきか。
この判断は何度経験しても難しいものです。
私は、まず復旧を優先していました。
その場で全員に理解してもらうことよりも、業務を正常な状態へ戻すことが最優先だからです。
もちろん、落ち着いた後には事情を説明し、必要なフォローは行います。
障害対応中は、全員を納得させている時間はありません。
それも一人情シスの現実でした。
平時こそ「信頼の貯金」を積み重ねる
だからといって、普段から依頼を断っていたわけではありません。
システムが安定している時は、できるだけ迅速に対応し、周囲との信頼関係を築くことを意識していました。
私が現場で心掛けていたのは、「分かりません」「できません」を最後まで言わないこと。その場で答えられない時でも、「一度調べます。」と伝え、調査した上で必ず返答するようにしていました。
こうした積み重ねが信頼につながります。
だからこそ、本当に優先順位を変えなければならない場面でも、「今はこちらを優先します。」という判断を受け入れてもらいやすくなりました。
根回しもシステム管理の仕事
私は、運用ルールを変更する時やシステムへ影響する作業を行う時は、必ず関係部署の責任者へ先に連絡していました。
運用ルールを変更する際は、事前に関係部署の責任者へ話を通しておくことが大切です。
技術的には正しい変更でも、事前の共有が不足すると現場は混乱します。
逆に、責任者へ先に話を通しておくことで、利用者への周知もスムーズに進み、大きな混乱なく切り替えることができました。
システム変更とは、単に設定を変更することではありません。
変更した後には、必ずそのシステムを利用する人がいます。
利用者が安心して運用できる状態まで整えて、初めてシステム変更が完了したと言えるのです。スムーズなシステム変更というのも相手への信頼貯金の一つだと思います。

長年の運用には理由がある
システムを管理していると、「この設定はもう必要ないのでは?」という相談を受けることがあります。
私自身も、昔から使われていた設定を変更した後になって、「この設定が変わっています。」と別部署から連絡を受けたことが何度もありました。
その時になって初めて、「この設定には理由があったのか。」と気付かされます。
長年運用されているシステムには、一見すると意味が分からない設定が数多くあります。
その多くは、過去のトラブルや改善を積み重ねた結果です。
変更する時は、
- 誰へ影響するのか
- 本当に全体最適になるのか
- 関係部署への説明は必要か
を十分に確認することが重要です。
「NO」と言う勇気も仕事の一つ
一人情シスは、すべての要望を受け入れる仕事ではありません。
物理的に不可能なこと。
システム上リスクが高いこと。
業務全体へ悪影響が出ること。
そうした依頼には、「できません」と伝える勇気も必要です。
もちろん、普段であれば代替案を考えることもあります。
しかし、システムリリースや大規模障害の最中は別です。
まず正常な状態へ戻すこと。
代替案を考えるのは、そのあとになります。
その場の感情ではなく、影響範囲で判断する。
それが一人情シスの役割だと考えています。
自分自身を守ることも仕事の一つ
一人情シスが最優先で管理すべきものは、サーバーでもネットワークでもありません。
自分自身です。
自分しか知らない設定や運用は山のようにあります。
もし自分が倒れれば、会社のITはブラックボックス化してしまいます。
だからこそ、自分自身の状態を管理することも、一人情シスの大切な仕事です。
私自身、月120時間近い残業が続いた時期があり、その頃は仕事をこなすだけで精一杯でした。
ですが、ある時、自分でも「これ以上は危ない」と感じる瞬間がありました。
例えるなら、スピードメーターの針が赤いゾーンに入ったような状態です。
まだ走り続けることはできます。しかし、そのまま走り続ければ、いつ故障してもおかしくありません。
それ以来、「今日は何をやっても心が動かない」と感じた日は、無理をせず定時で帰るようにしていました。
判断力が落ちた状態でシステムを触ることの方が、大きなリスクになると考えていたからです。
また、万が一に備えて、
- 作業手順書
- 設定資料
- 作業メモ
- ToDoリスト
を残しておくことも、一人情シスの大切な仕事だと思っています。
まとめ
あの日、役員のパソコン設定を後回しにした判断は、役員を軽視したわけではありません。
事前に準備をお願いし、本番ではシステムリリースに集中する。
それが業務全体を守るために必要な判断でした。
一人情シスは、パソコンを直す人ではありません。
会社全体の流れを見て、優先順位を決め、人と部署を調整し、システムを安定して運用する。
会社の流れを守り、調整する人。
私は今でも、それが一人情シスの最も大切な役割だと思っています。
いかがでしたでしょうか。
ほかにも社内SE時代の経験や業務改善について投稿しておりますので、よろしければこちらもご覧ください。
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